VASE: Volume-Aware Surface Evolution for Surface Reconstruction from Incomplete Point Clouds
Eurographics Symposium on Geometry Processing(SGP) 2011の論文.
点群からの Surface Reconstructionの話.
著者の研究グループはSIGGRAPH ASIA 2010に"Cone Carving for Surface Reconstruction"という不完全な点群からvisibilityを考慮して
Surface Reconstructionをするという論文を出していて,これに関係しています.
深く凹んでいたり穴が開いていたりする物体は光学式の点群スキャナを使っても完全に点群が取れない場合があります.
この点群をつかって従来の手法(RBF使うやつ, Poisson Surface Reconstruction)でSurface Reconstructionを行うと
元の物体とは違ったSurfaceが得られるという結果になってしまいます.
そこでこの研究では最適化の式にdata fittingとsmoothnessの項だけでなくVolumeの項を追加しています.
fittingの前には先ほど紹介したvisibilityを使う手法で大まかにSurfaceを出しておいて,体積を考慮してSurfaceを
きれいにします.
具体的には体積をMedial AxisとMedial Axis上の点を中心とした球と考え,その球の半径Rのラプラシアンの積分
を最小化します.
点群からSurfaceをReconstrucitonする研究は2000年代前半がとても盛んで,
Surfaceを表す陰関数をRBFで近似する方法"Reconstruction and Representation of 3D Objects with Radial Basis Functions" [2002, SIGGRAPH]や
SurfaceのGradiantがなめらかになるようにSurface Reconstructionする "Poisson Surface Reconstruction"[2006, SGP]が有名です.
最近はこの論文のように不完全は点群からの再構成や,ワイヤ状のものや,木とか計測しにくいものを対象とした論文も増えています.
また,Reconstructionするだけでなくそのあと(EditできるようにTopologyもきちんとReconstructionする)に注目した論文もあったりします.
話は変わってPCLのSurface Reconstructionの動画
陰関数のfittingしてMarching Cubesで面はってる感じがする.
そしてRenderingのときにSmoothingしてるかんじ?
この動画みるとまだやることあるなーって感じる.
Surface Reconstructionに体積を考えるってすごくおもしろいよなー.こんな研究したい.
Lp Centroidal Voronoi Tessellation and its Applications
INRIAの研究者 Bruno LevyのSIGGRAPH 2010の論文です.
Mesh Processing がよくまとまっているこの本の著者の一人です.
- 作者: Mario Botsch,Leif Kobbelt,Mark Pauly,Pierre Alliez,Bruno Levy
- 出版社/メーカー: A K Peters/CRC Press
- 発売日: 2011/01/25
- メディア: ハードカバー
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ここにスライド等もあります.
http://www.pmp-book.org/
通常のCVTではボロノイ点から各点のL2ノルムを最小化します.
有名な方法はLloyd’s algorithmで,ボロノイ領域の点をボロノイ領域の重心に移動させることで均等にボロノイ点を配置することができます,
これを収束するまで繰り返すとボロノイ領域が綺麗にtessellationされます.
応用としてはリメッシングがあります.
CVTで拡張点を移動させて元のメッシュにプロジェクションしてあげるとクオリティの高いメッシュにリメッシングすることができます.
この論文ではそのCVTのL2ノルムだけでなくLpノルムの最小化を考えるように一般化しています.
Lpノルムを考えるとなにがいいかというと,L2ノルムの場合では,等距離の領域が円状になりますが,
L∞ノルムの場合では正方形に限りなく近くなります.正方形の領域だと四角形の領域にきれいに並べることができます.
この論文ではさらにノルムに対して変換行列Mを考えてあげることによりanisotropic な領域で距離を等しくすることができます.
Applicationとして.Anisotropic Remeshing や,Fully Automatic Feature-Sensitive Remeshing(これはFeatureにタグ付けしているし,もとのSurfaceがわかっている状態)
Variational な quad meshing(L8でだいたい正方形っぽくなって,Voronoi領域の四角形が綺麗にならぶので隣接するVoronoi点を結んであげるとquad meshになる), Hex meshing などが紹介されている.
Supplymental Material の気合の入り方もすごい.
プロフェッショナル原論
タイトル通りプロフェッショナルについての本
- 作者: 波頭亮
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2006/11/07
- メディア: 新書
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この本のなかで筆者はプロフェッショナルを「高度な知識と技術によってクライアンとの依頼事項を叶えるインディペンデントな職業」と定義していて,プロフェッショナルの掟として以下が挙げられていた.
クライアント インタレスト ファースト(顧客利益第一)
アウトプット オリエンテッド(成果思考)
クオリティ コンシャス(品質追求)
ヴァリュー ベース(価値主義)
センス オブ オーナーシップ(全権意識)
プロフェッショナルは顧客からの依頼に対しこれらの規範や価値基準を基に対処していく.
この本のなかにプロフェッショナルとしてコンサル,医者,弁護士が例として出てくるが,研究者に関しては言及されていなかった.
ぼくは,研究者は先に述べたプロフェッショナルの掟をまもり,かつ問題定義能力を持っているすばらしい存在だと思う.
研究者についてもう少し言及すればさらにおもしろい本になると思う.
「博士号」の使い方
博士を取りたいとずっと思っていたのでこの本を買ってみた.
- 作者: incu-be編集部
- 出版社/メーカー: リバネス出版
- 発売日: 2009/04
- メディア: 単行本
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この本では博士号をとっていろんな分野で活躍している人が紹介されている.(紹介されている人の分野が生物・化学系に偏っていた気がする.
博士号をとってアカデミックな場で研究している人,企業に就職し働いている人,異分野で活躍しているひとなど.
その中で心に残ったのが,”博士課程のなかで一度どん底に落ちて,その時自分の中の哲学が生まれる”という言葉だ.
博士課程に行かなければぼくの人生でそういった経験をすることは無いだろうと思った.
さらに博士号を取りたくなった.
アルゴリズミック・アーキテクチュア
建築専攻でもないのですが,ふと,本屋で目に入った本を買ってみた.
- 作者: コスタス・テルジディス,田中浩也,荒岡紀子,重村珠穂,松川昌平
- 出版社/メーカー: 彰国社
- 発売日: 2010/02
- メディア: 単行本
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原著はこれ
- 作者: Kostas Terzidis
- 出版社/メーカー: Routledge
- 発売日: 2006/05/10
- メディア: ペーパーバック
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著者はKostas Terzidis, Harvard University Center for the EnvironmentのAssistant Professor of Architecture.
内容はもちろんアルゴリズミック・アーキテクチュアの話.
コンピュータを建築に利用する場合,まず思いつくのはCADなどを使ってデザイナが思い描いているものを3次元モデリングすることだと思う.
そういった予め概念化されたものをディジタル化する行為はコンピュータライゼーションといってコンピューテーションとは区別されている.
コンピューテーションとはデザインの意図,ルールなどの計算手続きを記述することであると述べられている.
また,作者はコンピュータと人間の関係についても触れている.作者によるとコンピュータは人間の使う道具ではなく,異なる論理体系をもったパートナーであるらしい.
例えば,パスワードを当てることを考えると,人間は周囲の情報を使って推測するのに対し,コンピュータはひたすら当てずっぽうに値を入れていく(アルゴリズムによるけど)
このように人間とコンピュータは異なる論理体系を持っていて,それをつなぐのがアルゴリズム役割である.
そして,コンピュータと人間でデザインを行うときに問題となるのが,デザインの定義だと思うのだが,
著者はデザインをすでに存在しているものの再発見であると述べている,(例えば,絵画や文章は無数の天文学的なパターンの組み合わせの1つに過ぎないという考え方)
優れたデザインに欠かせない「新規性」は”人間が考えもしなかった”というだけのことであり,それが存在しなかったわけではない.
したがって人間の「直感」や「創意工夫」とコンピュータの「計算能力」を合わせることが大切だと述べられている.
その具体的な例としてセル・オートマトン,GA,ブール代数による演算,フラクタル等のアルゴリズムが挙げられている.
そしてコンピュータを使うI世代の次に来るC世代(自分自身の手で運命を握るデザイナー/建築家)に期待したいと締めくくっている.
建築にコンピュータを利用するという話だと何年も前からやられているけど,それまでの流れとしてはめんどくさいことはエンジニアとかプログラマがやるので
建築家やデザイナが簡単にデザインできるツールを提供することが目的だったと思う.
それは逆にデザインの可能性を狭めていて,真にコンピュータと人間が協力するにはアルゴリズムを記述する必要があるけど,
最近はProcessing,Python,などいろんなスクリプト言語があってライブラリも充実してて敷居は低くなったと思う.
(著者はProcessingの本も出している)
Algorithms for Visual Design Using the Processing Language
- 作者: Kostas Terzidis
- 出版社/メーカー: Wiley
- 発売日: 2009/05/11
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デザインって言葉を聞くと自分には無理だって決めつけてたけど,すでに存在しているものの再発見って言われるとなんかできそうなきがしてきた(笑)
哲学的な内容から実装の話まで幅広い本でした.
個人的にはWolfram ResearchのStephen Wolframの話とか,アーサー・C・クラークの科学技術についての名言とか,セル・オートマトンとか(順列都市読んだばっかだから反応してしまう)
親近感のわく内容もあって楽しめました.
Kindle Fire
ここ最近タブレットが欲しかったのですが,iPad3の影もちらつき始めたのでここでiPad2を買うわけにもいかず,先日発売になったKindle FireをExpansysで購入しました.
SIMフリーのスマートフォン、タブレット、アップル製品 - EXPANSYS 日本
そのKindle Fireが届きました!
値段はKindle Fireが 22323円で,shipping costが4400円の計 26723円でした.
早速開けてみます.(ホコリはうちが汚いわけではなく最初から入っていた)
意外と重いです.
説明書はとてもシンプルです.
あとアダプターしかついてこないので,PCからファイルを送るにはUSB-microUSB変換ケーブルが必要です.
電源ボタンは下側についています.
起動するとAmazon.comのアカウントを入力してね.と言われます.入力するとSoftware の updateが始まります.
また,アカウントのアドレスに"Welcome to Kindle Fire"というメールがきます.なんかこういうのうれしいですよね.
Kindle Fireを買った目的は論文を快適に読むことです.(Kindle3 では厳しかったので.
早速試してみたいと思います.
普通の本(pdf)はこんな感じ.縦だと読みづらいので,横向きで読むことになりそうです.
Amazonで買った本はこんな感じです.やはり文字が大きく読みやすいです.
あと,こんなふうに進行度合いを表示してくれます.
充電は8時間ほど持つらしいです
不満点としては
- カメラがない
- UIがちょっと...
- 画面の上部をタップして設定を呼び出すときに反応してくれなかったり
- ページを速くめくると,ページが戻ったりする
ぐらいですかね.
ほかのアンドロイド端末はあまりさわったことが無いけど,この値段なら概ね満足です.
順列都市
人工知能,仮想現実等を題材にしたグレッグ・イーガンの電脳SF
- 作者: グレッグイーガン,Greg Egan,山岸真
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1999/10
- メディア: 文庫
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物語はスキャンテクノロジー,プロセッサの計算能力が発達した未来で,人間が自分の”コピー”を
計算機乗で走らせることができるようになっている世界で起こる.
このような世界では人々が不死を手にしたと考えるかもしれないが,実際はそうではなく,宇宙の終焉とともに
コピーを走らせる計算機も消滅してしまう.
そこで,TVC宇宙と呼ばれるセル・オートマトン世界が登場する.
セル・オートマトンとは簡単にいうと自己増殖していくパターンのことで,ここではそのパターンが
プロセッサをなしており,TVC宇宙とは1つの大きな自己増殖するプロセッサクラスタということもできる.
通常の宇宙は時間の経過とともに拡張し,エントロピーが増大している.
しかし,TVC宇宙では時間の経過と共にさらなる秩序が生まれているのでエントロピーは減少する.
そのTVC宇宙上でコピーを走らせれば完全な不死を得ることができる.
これだけでも普通の電脳SFと違い,かなり興奮する内容なのだが,まだまだおもしろいポイントがある.
その鍵を握るのがオートヴァースというセル・オートマトン世界.
余剰な計算能力を持つ人はオートヴァース上で独自の物理法則に従うおもちゃの宇宙を走らせることができる.
通常の宇宙では計算能力が足りず,分子や原子生物を相互反応させる程度だったものが,TVC宇宙では
惑星1つまるごとを走らせるだけのプロセッサがある(それが時間のたつごとに増殖している).
TVC宇宙上で走らせたオートヴァースの惑星上で生命が誕生し(実際には誕生するように設計したのだけれども),
その生物とのファーストコンタクトも描かれている.
また,オートヴァースの惑星上から見ればTVC宇宙上の世界(物語中ではエリュシオンと呼ばれている)
の存在はそれを創造した神の存在に等しく,その存在はオートヴァース惑星上の科学とは矛盾しており,存在をめぐる
オートヴァース惑星とエリュシオンの争いも描かれている.
筆者自身も神の存在を否定しているのだと思う.
このように人工知能,仮想現実,から宇宙の起源まで取り扱った非常におもしろい作品だと思う.
ハードSFが好きな自分にとってはとても満足の行く作品でした.
個人的な疑問点としては
- バタフライ計画ってちょいちょいでてきたけど何だったのか
- マリアのお母さんはどうなったのか
ぐらいです.
もう一回読み直しますかね.
以下,個人的に名言だと思うものを挙げてみる.
- 「対称性は破られるためにある」
- 「長い長い時間がたって死ぬこと,それは意味が違う.正解は死なないこと,以上」