順列都市
人工知能,仮想現実等を題材にしたグレッグ・イーガンの電脳SF
- 作者: グレッグイーガン,Greg Egan,山岸真
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1999/10
- メディア: 文庫
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- 発売日: 1999/10
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物語はスキャンテクノロジー,プロセッサの計算能力が発達した未来で,人間が自分の”コピー”を
計算機乗で走らせることができるようになっている世界で起こる.
このような世界では人々が不死を手にしたと考えるかもしれないが,実際はそうではなく,宇宙の終焉とともに
コピーを走らせる計算機も消滅してしまう.
そこで,TVC宇宙と呼ばれるセル・オートマトン世界が登場する.
セル・オートマトンとは簡単にいうと自己増殖していくパターンのことで,ここではそのパターンが
プロセッサをなしており,TVC宇宙とは1つの大きな自己増殖するプロセッサクラスタということもできる.
通常の宇宙は時間の経過とともに拡張し,エントロピーが増大している.
しかし,TVC宇宙では時間の経過と共にさらなる秩序が生まれているのでエントロピーは減少する.
そのTVC宇宙上でコピーを走らせれば完全な不死を得ることができる.
これだけでも普通の電脳SFと違い,かなり興奮する内容なのだが,まだまだおもしろいポイントがある.
その鍵を握るのがオートヴァースというセル・オートマトン世界.
余剰な計算能力を持つ人はオートヴァース上で独自の物理法則に従うおもちゃの宇宙を走らせることができる.
通常の宇宙では計算能力が足りず,分子や原子生物を相互反応させる程度だったものが,TVC宇宙では
惑星1つまるごとを走らせるだけのプロセッサがある(それが時間のたつごとに増殖している).
TVC宇宙上で走らせたオートヴァースの惑星上で生命が誕生し(実際には誕生するように設計したのだけれども),
その生物とのファーストコンタクトも描かれている.
また,オートヴァースの惑星上から見ればTVC宇宙上の世界(物語中ではエリュシオンと呼ばれている)
の存在はそれを創造した神の存在に等しく,その存在はオートヴァース惑星上の科学とは矛盾しており,存在をめぐる
オートヴァース惑星とエリュシオンの争いも描かれている.
筆者自身も神の存在を否定しているのだと思う.
このように人工知能,仮想現実,から宇宙の起源まで取り扱った非常におもしろい作品だと思う.
ハードSFが好きな自分にとってはとても満足の行く作品でした.
個人的な疑問点としては
- バタフライ計画ってちょいちょいでてきたけど何だったのか
- マリアのお母さんはどうなったのか
ぐらいです.
もう一回読み直しますかね.
以下,個人的に名言だと思うものを挙げてみる.
- 「対称性は破られるためにある」
- 「長い長い時間がたって死ぬこと,それは意味が違う.正解は死なないこと,以上」