3Dプリンタを造形方式別に比較してみた
最近よく話題になっている3Dプリンタには様々な造形方法が存在します.
それらを比較してみたいと思います.
比較するプリンタは
・Cube
・uPrint SE Plus
・ZPrinter 250
・ProJet 1500
です.
Cubeが1299$と一番安く.それ以外は数百万円ほどです.
個人向けではない3Dプリンタの中では安い価格帯のものだと思います.
造形モデルとしてはこちらのモデルを使います.
鋭い特徴(Sharp features)と曲率(緩やかなところから勾配が急なところまである)の観点からこれを選びました.
このモデルはAim@Shape Project - Shape Repositoryから入手可能です.
熱溶解積層法
まずは熱溶解積層法です.
その名の通り熱で溶かした材料を積層していきます.
仕組みが簡単なのでとても安価なモデルが登場しています.最近話題の個人向けの3Dプリンタもほとんどこの方式を採用しています.
今回比較する3DプリンタではCubeとuPrint SE Plusがこの方式のモデルになります.
まずこちらが1299$のCube で造形したモデルです.
このCubeはサポート材として造形物と同じ材料を使うためサポート材を取り除くときにどうしても後が残ってしまいます.
積層ピッチは0.25mmですので見た目が結構ギザギザしています.
次はuPrint SE Plusです.
これは水溶性のサポート材を使っているので痕などは残っていません.
この3Dプリンタも積層ピッチはCubeと同じ0.25mmなのでギザギザが目立ちます.
細くて造形できないような部分はドライバソフトが太らせるそうです.
積層ピッチは同じでも制御系などが違うため造形されるモデルにもかなり違いがあります.
例えばこのフタ付きの入れ物では,入力モデルはフタと本体の間に0.1mm程度の隙間があるのですが,Cubeで出力したモデルは閉まりません.
やはり値段が高いほうが制御系も高精度ですので精度が高いものが造形できます.
今回比較した3Dプリンタの中で熱溶解積層方式は同じ価格帯で比較すると他の方式よりも積層ピッチが粗いです.
しかし,材料がABS樹脂ですので粘りがあり強度は一番高いでしょう.
フィギュア等ではなく負荷のかかるパーツなどに向いているような気がします.
紫外線硬化方式
次は紫外線硬化方式です.
紫外線硬化樹脂の液面に紫外線レーザーをあてて造形していきます.
後処理として2次硬化,その後洗浄する必要があります.
なので3Dプリンタ本体,2次硬化用の機器,洗浄機が必要となり場所と手間を食います.
造形したモデルに関しては,積層ピッチが0.1mmと他の機種と比べると小さいため,見た目は一番きれいだと思います.
表面がなめらかで触り心地もなかなか良いです.
先端付近もよく表現できていると思います.
サポート材は同じ材質です.さらにサポート付近がすこし盛り上がってしまいます.
これは表面張力が原因だと思います.きれいに剃るには後処理が必要ですね.
材料はアクリルなのでABS樹脂とまではいかないまでもそこそこ粘りはあります.熱溶解積層方式と同様負荷がかかるパーツにも適している
と思います.
しかし,寸法は期待できないと思います.
フタ付きの入れ物はフタを閉めることができませんでした.
精度について問い合わせてみたのですが公表していないということでした.
紫外線硬化方式で精度を必要とするなら数千万クラスのものを購入してくれとのことでした.
粉末固着方式
接着材が含まれたインクを吹きつけて粉を固めて造形していきます.
カラーのインクを使うとカラフルなモデルが作れます.
このZPrinter 250 では64色が表現可能です.
他の方式では色を付ける場合材料自体を変える必要があるので,かなり楽です.
造形物は少し粉っぽいというかざらざらしていますが積層ピッチが0.1mmということもあり見た目もとてもきれいです.
積層ピッチ0.1mmに対して最小造形サイズが0.4mmとのことなので細かい部分は表現しづらいようです.
フタ付きの入れ物は問題なく閉まりました.寸法にかんして上の2機種が大きめに出るのに対して小さめに出る傾向がある気がします.
石膏ベースの材料なので負荷には弱いです.力をかけるとすぐ壊れそうです.
まとめ
造形方式によって様々な特徴があるので用途によって選ぶ必要がある.
値段が高ければ高いほど性能がよい.